公益社団法人日本ボート協会

Japan Rowing Association

NTC競技別強化拠点NTC FOR ROWING

NTC競技別強化拠点 戸田ナショナルトレーニングセンター(T-NTC)便り

2013年02月04日
NTC競技別強化拠点
戸田ナショナルトレーニングセンター(T-NTC)便り No.32
1.日時
2013 年1月27日(日)~1 月28日(月)9:00~16:45
2.場所
スカップ軽井沢(カーリングの競技別強化拠点) 中央工学校南ケ丘クラブ
3.事業
平成24年度競技別NTC合同ミーティング
4.対象
競技別NTCのスタッフの他、JOC加盟団体強化スタッフ、NTC拠点地域関係者、地域タレント発掘・育成事業関係者など
5.内容
(1)施設見学
  1. スカップ軽井沢(長野オリンピック時練習会場)
  2. アイスアリーナ
  3. オリンピック記念館
  4. 軽井沢アイスパーク(2013年3月オープン)
(2)セミナー
  1. ソチ及びピョンチャンに向けたNFの取り組み
    日本カーリング協会強化委員会委員長 柳 等氏
  2. 競技別NTCの役割と地域との連携
    日本カーリング協会NTC担当 長岡秀秋氏
  3. 総合型地域スポーツクラブの役割
    早稲田大学スポーツ科学学術院教授
  4. 長野県の地域タレント発掘・育成事業/SWANプロジェクト
    長野県体育協会 佐藤純也氏
(3)グループディスカッション
競技別育成・強化の基盤づくりとしてのNF及び地域との連携方策
6.報告者
戸田ナショナルトレーニングセンター  ディレクター 長内暢春

今年で2回目となる競技別NTC(ナショナルトレーニングセンター)合同ミーティングが軽井沢で開催された。 全国から競技別NTCのスタッフの他、JOC加盟団体強化スタッフ、NTC拠点地域関係者、 地域タレント発掘・育成事業関係者などが参加し、二日間にわたって施設見学、セミナー、 グループディスカッションが行われた。日本ボート協会からは筆者とオフィサー・強化委員の清水一巳氏が主席した。 最終プログラムでは日本代表選手指導のもと、カーリング体験をしてミニゲームで閉会した。 各NF(中央競技団体)の強化方針や取り組みを情報交換でき、有意義なミーティングとなった。 特に2016年、2020年に向けて、タレント発掘・育成事業をどう展開していくのかという課題はNTC強化拠点活用事業と絡ませて検討していかなければならないことをグループディスカッションで再度、確認することとなった。 JSC(日本スポーツ振興センター)さらには各都道府県で既に実施されているジュニアアスリート発掘・育成事業との連携により、 軽量級そしてオープン種目の選手発掘・育成・強化事業を展開していく必要があるだろう。 今回は日本カーリング協会強化委員会委員長柳等氏の報告を紹介します。

ソチ及びピョンチャンオリンピックに向けたNFの取り組み
日本カーリング協会強化委員長 柳 等 氏

「10年以上一緒に住み、家族同様に生活してきたのでお互いに何を考えているのかよくわかりあえる。 チームワークを考えると『上から4人』で勝てるものではない。(スウェーデン、スキップの選手)」という考え方がカーリング界にはあることを紹介された。 このような背景から『日本代表を選考する際にも、選抜チームは組まない』というNFの現状もあるようだ。 NTC強化拠点施設の利用についても競技の特性が垣間見えた。柳氏は日本体育大学在学中水球部に所属、 JISS研究員を経て、現在は北見工業大学工学部准教授である。専門は体育学、 スポーツバイオメカニクスでスポーツパフォーマンス向上に関する研究を行っている。 昨年7月に日本カーリング協会、強化委員長に就任された。 筆者が興味を持った講演内容について何点か紹介したい。

(1)トレーニング測定器の開発と選手へのフィードバック
柳氏はスウィープ(選手が氷上をブラッシングする動作)で発揮する力を測定するカーリングブラシを開発し、 スウィーピングパフォーマンスの評価法や指導法の研究に従事している。選手がどれくらいの速度、 パワーでスウィーピングしていたかを選手にフィードバックし、 トレーニング処方に役立てている。まさにカーリング競技のトレーニング分野にこれまでになかった新しい視点をつくりあげている。
またゲーム分析機器の開発にも取り組み、同大学の研究室と協力してカーリングのゲームを記録するタブレット用アプリの開発を行い、 ゲーム分析にも着手している。
(2)ウォーミングアップからチームのビルドアップ
パシフィックアジアジュニア大会会場での各国の試合前ウォーミングアップのVTRが紹介された。 まったく各自に任せているチーム、みんなでやっているがバラバラのチーム、 バスケットをやっているチームとさまざまな風景があった。 日本のジュニア選手も全体でウォーミングアップをしているがきちんと出来ていない選手もいる。 その中でも、スコットランドチームは目を引いた。音楽がかかり出す。 それに合わせてみんながダイナミックストレッチをする。 曲の後半にスイッチが入るように、丸く集合し同じヒップホップ調のダンスを踊り始める。 軽快でリズミカルでシンクロしていて楽しそうだ。We-Feelingがだんだん形成され始めていく。 気持ちをひとつに結集していく粘菌性アメーバの様を感じた。 そこには小生が描いている躍動感があってシンクロした機能美をめざすウォ-ムアップがあった。
二日目のグループディスカッションでは、柳氏が隣の席であった。情報交換しているうちに、 小生との共通の話題に発展。JSS北見の話、阿部晋也元カーリング日本代表監督の話(阿部氏は小職の教え子で、 高校時代にボートとカーリング〈U19代表〉の選手だった。現在は再び、 ソチ代表をめざして選手に戻る)など北海道の話で親交を深めた。