公益社団法人日本ボート協会

Japan Rowing Association

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全国のオアズパーソンへの手紙(第75信)

2018年11月5日
日本ボート協会会長
大久保 尚武
会長写真

日本ボート界にとっていよいよ大事な2019年度シーズンが始まります。最大の目標は2019年8月の世界選手権(オーストリア・リンツ)でオリンピック出場権を獲得することです。

まず11月14日(水)から第1回の合宿が戸田で始まります。まだ今年度の日本代表候補選手選考の前なのですが、まずは2018年度の世界選手権代表選手を中心に、一部U23、U19の選手も含めて、男子11名、女子8名合計19名の選手に参加してもらって今年度の強化合宿がスタートします。

オリンピック出場権の獲得は、現在の日本の実力をクールに見た時、決して簡単な目標ではありません。しかしオリンピックに出場しないことには何事も始まりません。「全力を挙げて、最高の練習を!」これがわたしから選手諸君への応援メッセージです。

なお、ホームページに強化委員会が「2018年度総括」と「2019年度強化方針並びに代表選手選考方針」を載せています。ぜひ読んでおいてください。

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全日本選手権大会が10月25日(木)~28日(日)戸田で開催されました。世界選手権、アジア大会の日本代表選手たちの多くも、それぞれの所属チームにもどって参戦し、熱戦がくりひろげられました。

会場でまず目についたのが、大型ビジョンです。縦2m×横3.5mくらいの大画面で、観客席のまん前に据えられ、スタートからゴールまで観られるのはやはりいいですね。セレスポ社のご協力があったとのことですが、来年以降もぜひ続けたいものです。

男子8種目、女子5種目で覇権を争いましたが、今年も相変わらず優勝はバラけました。女子では立命館大が2勝(W8+とW2-)で強さが定着してきました。男子ではNTT東日本(M8+とM1x)と日本大(M4xとM2+)が2勝ずつと、やはり強いですね。そしてアイリスオーヤマ(W1xとM2x)と関西電力(W4xは小浜、M4-は美浜)も2勝して、強さは健在です。また連勝記録ではM2xのアイリスオーヤマの7連勝、W2-の立命館大の5連勝が見事です。

そして一番目立ったのは地方勢の健闘です。メダル(金、銀、銅合わせると39個)の半分以上を東京(関東)以外のチームが持っていきました。長崎のチョープロがM2-で初優勝したのは見事でしたし、東北地区が7個、北陸地区が5個、特に女子エイトでは、1位立命館大 2位富山国際大 3位北陸電気工業という結果で、「東京勢どうした」と声をかけたくなります。

今年は何人かの賓客が観戦・応援に来てくれました。

スポーツ庁次長の今里譲さんは初のボート観戦。戸田市の若い新市長菅原文仁さんには女子エイトのプレゼンターになっていただきました。企業のトップでは、NTT東日本の井上福造社長、明治安田損害保険の鈴木宏昌会長が最後まで観戦してくださいました。

なお、昼休みにパラローイングの日本代表クルーの諸君が、デモンストレーションの意味も込めて、漕ぎを見せてくれました。パラローイングを初めて観る方も多かったと思いますが、まだまだ選手数も足りなく支援体制も十分とは言えません。

皆さん、どうぞ関心を持って応援よろしくお願いします。

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10月23日(火)の午後、「海の森水上競技場」の工事進捗状況を観に、相浦信行理事(事務局長)と一緒に現地へ行き、東京都の担当の方に案内・説明をしてもらいました。

進捗状況は55%ということですが、陸上の主な建造物が立ち上がってきたので(もちろんまだ周囲の足場はついたままですが)印象は一変しました。ゴール付近に大きな建物が3つ建ちます。2階建ての艇庫棟は、正面の長さが約140mで、戸田の共同艇庫の倍近くあるように見えます。グランドスタンド棟は約2,000人が座れる観客席と、2階は役員室、事務室などです。観客席の屋根が予算の関係で大きく削られたのは残念ですが、それでも立派なものです。そして3階建てのフィニッシュタワーが建ちます。

ゴール付近に立ってスタートの方を見ると、水際に2,000m真直ぐに伸びる幅6mのTV自動車・自転車走行路が見事です。観客席は仮設スタンド、そして広い立見席(といっても芝生の斜面にゆっくり座って観られます)ができますので、数万人は十分入れると思います。

いちばん問題の波ですが、当日は3~4mの東風(逆風になる)で、海面は3~40センチ位の波で「これじゃ漕げないな」という程度でしたが、コースの水面は全く静かで波は感じませんでした。「締め切り堤の威力はたいしたものだなあ」と相浦さん共々、ちょっと安心しました。

来年5月の完工時にどんな姿を見せるか、そして8月の世界ボートジュニア選手権で来日する各国選手がどんな印象を持つか楽しみなことです。

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もう1ヵ月前のことになりましたが、今年の福井国体は、9月30日(日)~10月3日(水)に美浜町久々子湖漕艇場で開かれました。今年も台風にぶつかり、敗者復活戦をなくすなど調整しながら、それでも最終日は快晴の中、無事終了しました。

このところの国体は、福井県の強さばかりが目立っています。この10年間で男女総合優勝の天皇杯で8勝、女子総合優勝の皇后杯が6勝、ましてや自県開催とあって今年も圧勝で、天皇杯5連勝、皇后杯3連勝達成でした。

この強さの秘密は、県ボート協会の山口治太郎会長(美浜町長)と田辺義郎理事長のお二人を中心とする関係各位のボートにかける熱い情熱があるのは間違いありません。他県からの選手を自宅に受け入れてくださるなど、頭の下がる思いです。

最終日には、三笠宮彬子女王殿下がお成りになり、予定を延長して決勝6レースを観戦していかれました。ご自身も学習院時代一度ボートを漕いだこともおありとのこと、また亡くなられた父上殿下は「オックスフォード留学では、エイトを漕いだのが一番の思い出のようでした」とおっしゃっておられました。今後とも、お父上と同様ボートに理解ある皇族として、よろしくお願いいたします。

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山口 治太郎会長
田辺 義郎理事長

以上