公益社団法人日本ボート協会

Japan Rowing Association

日本ボート協会JARA OFFICE

全国のオアズパーソンへの手紙(第71信)

2018年7月5日
日本ボート協会会長
大久保 尚武
会長写真

最初からちょっとかたくるしい話になりますが、「公益社団法人日本ボート協会」にとって最も重要な行事である「2018年度定時社員総会」が6月16日(土)に巣鴨の三菱養和会で開かれました。一般の会社の「株主総会」です。社団法人の場合、株主にあたるものは「社員」と呼ばれ、現在はちょうど100人(47都道府県の会長並びに学識経験者53人)で構成されています。議案は6件、他に報告事項6件だったのですが、今年はなんと2時間30分もかかり、わたしが会長になって最長記録です。活動内容が拡がって来ている証左だと思います。

皆さんにお知らせしておきたいことを2件だけご報告しておきます。

  1. まずボート協会の財政状況です。オリンピック・パラリンピックをひかえ、国などからの補助金が大きく増えて、昨年(平成29年度)の収入は3億9,200万円になりました。6年前(平成23年度)が2億600万円でしたから、ほとんど倍になりました。国からの補助金が1億4,500万円増えたのです。
    一方支出の方は、一番大きいのはもちろん日本代表の強化費で、1億4300万円使いました。そして「タレント発掘育成強化費」に9,600万円支出したのが特記すべきことで、若手有望選手の発掘強化に猛烈に力を入れていることを知っていただけると思います。2020年には間に合わないかも知れませんが、将来必ず花開くと信じています。期待していてください。
  2. 今年は役員改選期で、理事25名(重任22名、新任3名)を選任しました。2年後にオリ・パラを控え、ベテラン中心で見飽きた顔ばかりかも知れませんが、よろしくお願いします。
    新任理事3名を紹介します。
    岡本悟さんには、パラローイング本部長(兼委員長)を担当してもらいます。2006年の日本パラローイング協会設立以来理事長を務めてきたパラローイングのプロです。
    能村卓さんは、山崎佐知夫さんの後任として施設委員長に就いてもらいます。この3年間は施設委員として「海の森プロジェクトメンバー」として活躍されてきたベテランです。
    小林貴恵さんは、急逝した故・鈴木仁理事の後任としてコンプライアンス担当理事をお願いします。一橋大学端艇部出身の弁護士で、失礼を顧みず年齢を書かせてもらうと34歳。「むしろ選手に近い年齢なので、遠慮せず相談に来て下さい」とにこやかに話してくれました。
    なお、山崎佐知夫さんは仕事の都合で退任されました。特に「海の森」では大奮闘、ご苦労さまでした。

総会写真

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日本代表選手(シニアとU23、合わせて33人)は岩手県田瀬湖での合宿を6月29日(金)に打ち上げました。シニアの18名は7月13日(金)からのワールドカップⅢ(スイス、ルツェルン)に向けて7月7日(土)に日本を出発します。またU-23の選手たちは、7月25日(水)からのU-23世界選手権(ポーランド・ポツナム)が目標です。

田瀬湖合宿では、体調を崩した選手も1~2名居たようですが、一段上を目指して皆頑張ったようです。それぞれワールドカップや世界選手権、アジア大会を戦うなかで、しっかり世界の中での自分の立ち位置を確認し、次なる目標を「自分として」打ち立てることが最も重要だと思います。腹を据えて自分の力を出し切り、健闘してくれることを祈ります。

シニア合宿写真

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6月24日(日)お台場レガッタを観に行きました。夏のような暑さの中、砂浜にたくさんのテントが並び、子供連れも多く、色とりどりのユニフォーム姿の熟年クルーが目立ちます。距離も300メートルと短く、「楽しみ」が主目的のレガッタなので、これを機に同窓生が集まって編成したクルーも多いようです。FISAも各国にこの種のレガッタを推奨しています。

ところが、このお台場のビーチがオリンピックのトライアスロンの会場に決まっていて、来年、再来年はここを使えません。残念ですが、今後どうするか考えなくてはなりません。

お台場レガッタ写真

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6月29日(金)宮城県登米市でボートサミット(第31回全国ボート場所在市町村協議会 首長会議)が開かれました。

この会議は、他のスポーツには見られないボート特有の会議・活動で、鎧塚一さんが創設し今日まで育ててこられたことは、周知の通りです。鎧塚さんは、今回は都合で欠席でしたが32の加盟市町村のうち29市町村の首長さん(一部は代理の方)が集まり、じつに実のある情報交換が行われました。

田中幹夫会長(富山県南砺市長)の司会で、順次実情報告です。オリンピックの事前キャンプが決まった愉しい話、戸田と同じように藻で困っている話、レガッタでドローンを使った映像が好評だという話も3ヵ所ほどありました。

最後に田中会長が率直・簡明に総括されました。

「ボートというすばらしい生涯スポーツをぜひ盛んにしていきたい。悩みはボート場維持管理問題と、ボート人口をどう増やすかだ。日本ボート協会もぜひ協力して欲しい。また、『災害協定』はじつに有意義な制度なので、しっかり助け合っていきたい」という趣旨で、まさに現状を的確にまとめられたと感心しました。

夜の懇親会は、お国自慢の「お土産交換会」で盛り上がります。わたしも挨拶で「32市町村のうち、2つだけはまだ行ったことがない、近々ぜひお伺いしたい」と約束しました。

第31回全国ボート場所在市町村協議会 首長会議写真

翌日は、長沼ダムと長沼ボート場を見学しました。ちょうど河北新報社主催の「河北レガッタ」をやっていて、仙台大学監督の阿部肇さんなどに会ったのは驚きでした。60人ほどが合宿できる新しいクラブハウスを建設中で、9月にはオープン、オリンピック事前合宿誘致をぜひ実現したいということでした。

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6月30日(土)には、北海道石狩市の「第46回朝日茨戸レガッタ」に顔を出しました。去年は寒くてふるえましたが、今年は暑いくらいです。姉妹都市のミュンヘンから男女8人のオアズパーソンを招待して、国際色豊かな大会です。ミュンヘンクルーには、世界選手権の金メダリストも含まれていて、本格的な漕ぎでした。

翌7月1日(日)には艇庫会議室で北海道ボート協会(東乙比古会長)と石狩市との会議にわたしも陪席させてもらいました。石狩市からは田岡克介市長、日下部勝義市議会議長、永井利幸石狩市体育協会会長など、市のトップ全員が顔を揃えてくださり、東会長からの切実な陳情「艇庫・合宿所の老朽化問題と、コースの改造問題(現在の800m C級コースを1,000m B級コースに改造したい)」の協議です。大変深刻な問題ですが、市側は実に真摯に受け止めてくれて、事務方レベルの協議会を持つこととなり、東会長もホッとされていました。

わたしからは「『ボート場所在市町村協議会』に是非加盟してください、同じ状況の首長さんとの情報交換は、きっとお役に立つと思います」とお勧めしてきました。

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戸田コースの藻の繁茂の問題は、とうとう「全日本社会人選手権」を長沼コースに変更するところまでになりました。6月21日(木)、わたしも見に行ってきましたが、藻刈り船2隻で刈っていて、「1日11~12トンになります」とのこと、1週間ほどでまた茂ってくるそうで、解決の目処は立っていません。

古い話ですが、昭和24年5月号の「日本オアズマン倶楽部報」に、「戸田コースに藻が繁茂して、4隻レースが出来ず、3隻レースにした」という記事があり、「へえ、当時もそんなことがあったのか」と驚きました(畑弘恭さんからいただいた資料)。

9月の全日本大学選手権までには、「何が何でも」という気持ちですが…。

以上