公益社団法人日本ボート協会

Japan Rowing Association

日本ボート協会JARA

全国のオアズパーソンへの手紙(第54信)

2017年2月1日
日本ボート協会会長
大久保 尚武
会長写真

年明け早々の1月4日(水)から、ナショナルチームは長野県木島平で11日間のスキー合宿に入りました。もちろん初めての試みで、ギザビエNSD(National Sports Director)の新企画です。クロスカントリースキーが中心のトレーニングで、ヨーロッパ諸国では冬季トレーニングとして一般的に行われているようです。

32名の選手(U19、U23、シニアで社会人23名、大学生5名、高校生4名)が参加しましたが、ほとんどの選手がクロスカントリースキーは初体験で、あまり上手には滑れなかったようですが、まぁ仕方ないでしょう。わたしは、北海道生まれなので子供の時からスキーは下駄代わりで、雪の平地をうまく滑れない(歩けない)など考えられませんが、初めてだとよく転ぶようです。うまく滑れないのですから、本来の目的である「持久力(有酸素能力)の強化、バランス、筋持久力増強」などの成果はクロスカントリースキーのトレーニングとしてはいま一歩だったのではないかと思います。ただ、ウェイトトレーニングその他もしっかり合わせて行い、ナショナルチームとしてのチームスピリッツの醸成にも気を配っていたようで、合宿目的はしっかり遂げられたことと思います。

最初から完璧を期することはありません。わたしは、選手たちの声を直接聴いていませんが、「スキーは下手だったが良い気分転換になった」「有意義なトレーニングだと思った」といった感想を話していたようです。わたしは、ボート以外のスポーツを取り入れることには大賛成です。戦前の大先輩は、冬場、ラグビーをやったという話をよく聴きましたが、それと同じだと思います。ぜひセカンド・スポーツとしてスキーを上手になり、ボートだけでは培われない何か新しい能力強化にチャレンジしてください。

2月の強化合宿は2月13日(月)からです。4月以降はヨーロッパでの合宿も増やし、海外の一流選手たちと切磋琢磨する機会をできるだけ増やしたいと思っています。

選手諸君は大きな目標を胸に、気合を入れて練習に取り組んでください。期待しています。

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「2017 FISA(国際ボート連盟)臨時総会」が、いよいよ2月10日(金)から3日間、東京品川プリンスホテルで開催されます。(3日目の12日(日)は「海の森水上競技場視察ツアー」で希望者だけの参加になります)

メインの議題は「FISA定款の改定」と「東京2020オリンピックの競技種目(案)決定」の2つです。10日、11日の2日間は朝8時半から夜6時半まで、びっしり会議の予定になっていて、たいそう長い重たい会議になりそうです。

総会の参加予定者は、64カ国の代表者、FISAの役員、日本ボート協会のオブザーバーを含めて合計183名ですから大会議です。日本ボート協会、東京都ボート協会らのスタッフ25名がいろいろお世話することにしています。

初日の開会式には、スポーツ庁鈴木大地長官、JOC竹田恆和会長、組織委員会室伏広治局長が挨拶をしてくれる予定です。

議題の中で、興味深いものについていくつか紹介しておきます。

まず「FISA定款の改訂」ですが、50項目以上の膨大な変更案がきていますが、5つ程紹介しておきましょう。

  1. 「FISA総会に代表を2人以上出席させる場合には男女両性を含まなければならない」
    性差別撤廃の一環なので、これからは日本代表にも女性が1人入ってもらわねばなりません。そのためにもJARAに女性理事を増やすつもりです。
  2. 「コックスの性別は自由とする(但しオリンピックは除く)」
    世界選手権などでは女子コックスの男子クルーがたくさん出てくると思います。日本ではどうするか、検討しなくてはなりません。
  3. 「軽量級の平均体重制限(男子70Kg以下、女子57Kg以下)をなくして、各漕手個々の体重を男子72,5Kg以下、女子59Kg以下とする」
    各漕手が自分の体重管理を行うべきだという考え方で、これには賛成ですが、体重の上限をもっと下げるようにARF(アジアボート連盟)と意見を統一して要請するつもりです。
  4. 「オリンピックの種目を決めた条項を削除する」
    オリンピック種目は、FISAとの協議を経て、IOC理事会が決定することになったためです。そのために(この後で述べるように)推奨すべきオリンピック種目案を、今回のFISA総会で決めることになったのです。
  5. 「パラリンピックを2000mレースとする」
    IPC(国際パラリンピック委員会)の提言のようですが、まだ実態として無理のような気がします。

次の注目議題は「東京2020オリンピックの競技種目案の決定」です。上記(4)の定款変更に基づきFISAとしての「推奨すべきオリンピック種目案」を、この臨時総会で決めて、IOCに提言するわけです。

最終決定は今年11月に開催されるIOC理事会でなされるということです。

まず大原則は「男女の種目と選手数を同数とする」ということです。男子の種目を1つ減らして、男女とも7種目、275名ずつとするのが原則です。

いま出されているFISA理事会案は、「LM4-(軽量級男子舵手なしフォア)を外し、W4-(女子舵手なしフォア)を入れる」というものです。これに対し5カ国(オーストリア、カナダ、中国、デンマーク、スイス)が、「M4-(男子舵手なしフォア)を外し、LW4-(軽量級女子舵手なしフォア)を入れる」という案を出しています。日本はARFの一員として、この案づくりに参画してきたわけで、ぜひとも軽量級4-を男女ともに種目として残すことを主張するつもりです。

なお、今年はFISA創立125周年にあたるそうで、10日(金)夜のネイションズ・ディナーの際に、記念イベントを企画しているようです。

また東京2020オリンピックの事前キャンプを招聘するための展示コーナーを設けること(12市町村のボート場が出展予定)、さらに「おもてなし」の精神で女性有志の方々が和服姿で「お茶会」を催してくれるそうで、各国のみなさんに大いに喜ばれることと思います。

以上