公益社団法人日本ボート協会

Japan Rowing Association

日本ボート協会JARA

全国のオアズパーソンへの手紙(第41信)

2016年1月5日
日本ボート協会会長
大久保 尚武
会長写真

明けましておめでとうございます。

今年も「国際競争力の強化(オリンピックでのメダル獲得)」と「国内ボート界の隆盛」に向けて、全国のオアズパーソンのみなさんと手を携えて努力していきます。特にアスリート・ファースト(選手第一)をさらに徹底し、また各団体との情報共有化を大切にします。どうぞよろしくお願いします。

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今年は、いうまでもなくリオデジャネイロ・オリンピックの年です。軽量級3種目での出場を目指していますが、残念ながらまだ出場権を取れていません(昨年の世界選手権での獲得に失敗したため)

今後のスケジュールは次の通りです。

・LM2× LW2×:
アジア大陸予選(4月23~25日韓国・忠州)
男女とも3位に入れば出場権を得られますが、このところ香港、ベトナム、カザフスタンなどが力をつけてきているので、決して油断はできません。
・LM4-:
オリンピック世界最終予選(5月23~25日スイル・ルツェルン)
ここで2位に入らなければなりません。久し振りのスコードでの参加は、大いに可能性があると思うので、選手諸君の健斗を祈ります。

12月7日(月)の朝、オリンピック予選に向けた日本代表クルーの第4次選考3,000mタイムトライアルを観に戸田に行って来ました。これまでの合宿選考で残った、LM2-、LM1×、LW1×の

3種目の各6クルー、24選手が30秒間隔でスタートしていきます。さすがにここまで残ってきたクルーは実力伯仲で、土手で観ているわたしには優劣がわかりません。ここで各種目4クルーに絞られ、12月合宿に入り、その終了時にオリンピック予選への代表クルーが決められる予定です。

ところが、合宿中に女子選手の一人が「おたふく風邪」にかかり、合宿を離れざるをえない事態になりました。どうするか、種々検討の結果、女子の代表決定を1月に延期することにしたわけです。突然の予定変更で残りの3選手には色々影響があるかと思いますが、緊急事態ということで事情ご賢察ください。

なお、男子については予定通り代表クルーを決定しました。

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以上のリオ・オリンピック対策と並んである意味、長期的には

より以上に大切なのは、トップクラスの選手の継続的な強化策です。世界と対等に戦う為には、10年単位で選手を育てることが必要なのです。

12月18日(金)の理事会で、強化委員会から「2015年度の総括」と「2016年度の強化方針」が示されたので、ポイントをみなさんに報告しておきます。

まず「2015年度の総括」です。良かった点は2点に絞れると思います。

ひとつは、継続強化のシステムが軌道に乗ってきたことです。ジュニア→U-23→シニアを継続的に一体としてみていくことが、世界のボート強国ではごく当たり前のことなのですが、ようやく日本でも形ができてきたようです。女子高校生2名、男子の20歳以下の若手2名がシニアのワールドカップに参加し、そこそこの成績を挙げてくれたのは、その成果でした。全体に合宿日数を増やし、海外でのレースにも積極的に参加させました。選手の努力はもちろんですが、所属団体のご理解とご支援(予算面も含めて)には厚くお礼申し上げます。

ふたつ目の良かった点は、ユニバシアード大会(韓国)とU23世界選手権(ブルガリア)での好成績です。ユニバシアードでは、金メダル2つ(LW2×とLM4-)銅メダル1つ(LM2×)、そしてU23ではメダルこそ銀1つ(BLW1×)でしたが、BLM4-が5位、BLM1×が6位と3種目が決勝進出を果したのです。

少なくともU-23レベル(大学生レベル)では、世界のトップレベルにあることが証明されたわけで、選手を含めわれわれ全員の自信を深めることができました。

更に、広報活動(特に海外遠征中のレポート)もよくやってくれました。毎日ページを開くのが楽しみでした。

一方で反省し、対策を講ずるべきは、シニアの結果でした。

世界選手権では目標としていた決勝進出ができなかったばかりか、オリンピック出場権の獲得にも失敗しました。ワールドカップの戦いぶりで、少しは世界に追いつけたかと見ていたのですが、やはりまだ差は大きいと言わざるを得ません。強化委員会では、この差の大きな部分はフィジカル面にあると考えています。また、海外遠征時のコンディショニング(特に時差調整)は、一層研究しなければならないと考えています。

次に「2016年度の強化方針」です。リオ・オリンピックに向けた取り組みは上に述べたので、その他の方針を説明します。

  1. 合宿日数の増大、海外参戦、フィジカルの向上
    年間200日程度にまで合宿日数を増やし、海外合宿も組み込みます。国際大会への参戦経験を増やし、特にオリンピック終了後の8月末にU19/U23/非五輪種目の世界選手権がオランダ・ロッテルダムで開かれるので、チャンスですので是非参戦しようと予定しています。
    また懸案のフィジカル強化は、キチッとした測定をベースに計画的に進めます。
  2. 新たな才能の発掘と世界への挑戦機会の増加
    タレント発掘・育成に注力します。また、新たな若い才能を順調に伸ばす為には、世界に挑戦し、強敵と戦うことで選手本人が自覚することが大切です。できるだけチャンスを作りたいと考えています。
  3. コーチ体制の充実
    ナショナルチームの拡大と活動の長期化に対してコーチの体制が追いつけていないので、体制を拡充することが急務です。その一環ですが、フランス人コーチのドルフマンさん(42歳)をコーチングスタッフとして参画してもらう方向で検討しています。彼はシドニーオリンピックのLM4-の金メダリストですので、経験に基づく新しい視点を持ち込んでくれることと期待しています。

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日本ボート界の組織改訂案が、12月18日の理事会に上程され、来春からの実施が決定しました。3つの組織です。

  1. ブロック長会議の位置づけの改定
    これまで位置づけが曖昧で、十分には機能していなかった「ブロック長会議」を、明確に協会内組織として位置づけ「業務執行会議」の下に置くこととします。
    これからの日本ボートの普及・発展の為には各ブロック・水域での活動活性化が非常に重要です。各ブロック長さんには「ブロック推進リーダー」の立場で、協会と十分に連携して活躍していただく為の体制変更です
  2. 「2020特別委員会(仮称)」の新設
    2020年東京オリンピック・パラリンピック対応として、「組織委員会」「JOC」「FISA」「東京都」など関係機関との連携が不可欠となることから、専門に対応する委員会を管理本部内に新設します。
  3. 「アスリート委員会」の新設
    アスリートファーストの観点から、アスリートの声を直接マネジメント側に伝える使命を持った組織として強化本部内に新設します。JOCからも設置するよう指導がきているものです。

委員長等の人事発令はこれからですが、遅くとも4月1日発足を目処に準備を進めます。

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強化募金活動が、ようやく少し軌道に乗りはじめたので、現状をご報告します。

もちろんこの募金は強制するものではなく、あくまで浄財を寄附いただくものです。ただ強化のために多額のお金が必要なことは現実なので、2020年まで息長く続けていくつもりです。

なかには、大学のOB会が強力に推進してくれて、多数のOB諸氏から寄附が届けられ、事務局が感激している例もあります。

心よりお礼申し上げます。

募金額・件数

(2015年12月現在)

単位 千円

平成26年 平成27年 合計
法人・団体 16件 8,708 19件 19,291 35件 27,999
個人 58件 3,315 98件 6,209 156件 9,524
合計 74件 12,023 117件 25,500 191件 37,523

以上