公益社団法人日本ボート協会

Japan Rowing Association

日本ボート協会JARA

全国のオアズパーソンへの手紙(第27信)

2014年11月1日
日本ボート協会会長
大久保 尚武
会長写真

今年の国体は、10月18日(土)~21日(火)の4日間、長崎県形上湾ボート場で開催されました。今年も成年男女、少年男女、全12種目の覇を競い、全国から157クルー、754選手が参加しました。

形上湾ボート場は、海のコースで、大村湾の中の小さな内湾に設けられた1,000メートルコースです。大会中は「まれにみる好コンディション」(吉田恒雄 長崎県ボート協会会長の言)に恵まれ、最終日はちょっと風が出ましたが、各クルーは存分に力を発揮できたことと思います。

これを読んでいる艇友のみなさんにも、国体経験者は多いと思いますが、観戦していても、国体はやはり独特の雰囲気で、大事な大会だと、あらためて思いました。長崎名物のペーロン競槽も、毎年このコースで開催されるそうで、「一度ぜひ見て下さい」と誘われました。

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国体初日(10月18日)の夜は、恒例の「平成26年度都道府県連絡協議会」です。47都道府県の代表者が顔をそろえる年に一度の機会なので、日本ボート協会からは、現状並びに方針等について、できるだけ詳しくご報告することにしています。

最初にわたしから、日本ボート協会の大きな方針をお話しました。「オリンピックでメダル、という最終目標に向けて、強化に全力を挙げている。国際レベルとのギャップはまだまだ大きく、これまでとは異次元の強化策に取り組まなければならない。そのためには、どうしても資金不足なので、募金活動にも注力したい」。

もうひとつは普及問題です。 地域密着型のボートの普及の強化をさらに充実したい。そのためにも「全国ボート場所在市町村協議会」との連携を一層強化すべきだと考えている」といった趣旨です。

ついで7つの委員会(競技、強化、総務、普及、安全環境、施設、国際)の委員長が、それぞれの現状と方針をくわしく報告しました。

終了後の懇親会会場では、アチコチで談笑の輪が広がり、お互いの旧交を温める姿が見られました。

今年の有功者表彰は、元静岡県ボート協会会長の内藤元巳さんを表彰させていただきました。内藤さんについては、みなさんよくご存知と思います。現在も日本ボート協会顧問として、さまざまな面でご尽力いただいております。ほんとうに長年ありがとうございます。

また、広島県ボート協会で主に審判として長年活躍してこられた杉岡暹さんが、「国体功労者表彰」(日本体育協会 張会長による表彰)を受けられましたので、席上、披露させていただき、あわせて日本ボート協会の名誉審判員へ昇格していただき、その証として金バッジを贈呈しました。

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10月29日(水)海の森ボートコース予定地の現場視察に行ってきました。東京都オリンピック・パラリンピック準備局の施設担当課長の水飼和典さんから、現場で具体的な計画を聞いて確認することが主目的です。東京都からは競技担当部長の根本浩志さんも同席され、こちらからは施設委員長の山崎佐知夫さんと事務局長の相浦信行さんが一緒です。

個々の現場で説明をうけて、イメージがかなりはっきりしてきました。

まず、大会後の後利用施設は最大限に充実させます。艇庫、宿泊施設のほか、トレーニング施設、研修センター、メディカルサポート室などを検討しています。また、ボートコースを独立したものとは考えないで、海の森公園と連携した施設と位置づけることで、いろいろの施設たとえばトレーニングセンターとかシャワー、食堂などを、公園に遊びにきた人たちにも開放しようというアイディアも考えられます。

交通アクセスのことも心配ですが、今でも、りんかい線やゆりかもめ線の駅から日に40便ほどバスが走っているそうで、心配ありません。駅からはバスで15分ほどの距離です。

コースの両端を閉じる「締切堤」には海水を入れ替えるための「水門」もつけ、水位は満潮時のレベルに安定させます。

競技エリア(8レーン)とウォームアップエリアはポンツーンで仕切られ、またコース脇にはコーチが伴走できるように5メーター幅の自転車走行路をつくります。

先月のこの手紙でもちょっと触れましたが、IOCからは「レガシー(後利用)計画」をしっかり作るよう、強く要請されています。

今後しっかりと関係者とも協議をかさねて立派なレガシー案とするよう、努力していきたいと思います。

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10月8日(水)下村博文・文部科学相 兼 五輪担当相と食事をご一緒しました。半年ほど前もご一緒して、その時「オリンピックでボートが14種目もあるとは知らなかった。メダル、頼みますよ」と言われたことを思い出します。今回わたしからは韓国でのアジア大会が、さっぱり盛り上がらなかったことをお話しし、「着実に国民への働きかけをしていくことが大切だと思います」といった話をしました。

大臣からは「日本で『スポーツ・文化ダボス会議』を開くことを検討している。世界のスポーツ界のリーダーや文化人ら3,000人ほどに集まってもらい、スポーツ、芸術・文化のあり方、課題などを話し合い、世界に幅広く発信していきたい。2016年に第一回を開き、できれば毎年の恒例行事としたい」との興味深い構想が示されました。

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10月29日(水)の日経新聞夕刊の「目利きが選ぶ今週の3冊」という新刊書の紹介欄で、『ヒトラーのオリンピックに挑んだ若者たち』が取り上げられています。しかもなんと5つ星の最高点での推薦で「これを読まなくては損をする」というのです。「日経新聞がボートの本を推薦するんだ」とちょっと嬉しくなりました。

以上