日本ボート協会JARA
全国のオアズパーソンへの手紙(第15信)
日本ボート協会会長
大久保 尚武
このたびの日本大学ボート部の事故は、まことにいたましく残念なことでした。 亡くなられたご本人、ご遺族、関係者の皆さまに心よりお悔やみ申し上げます。
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10月10日~13日、第91回全日本選手権大会が戸田コースで開かれ、今年も女子5種目、男子8種目の覇が競われました。
結果はここでは省略します。決勝当日はかなりの順風だったので、 いいタイムがでるのではないかと期待していましたが、横風気味で少し波も出たせいか、 わりと平凡なタイムで終わりました。ボートのタイムは風次第ではありますが、世界と戦うためには、 たとえばエイトでいえば、まずは5分40秒を切るクルーが早く出てほしい、そう強く願っています。
今年は実業団クルーの企業トップの方が10人近く、自社クルーの応援に来てくださいました。 わたしの知るかぎり、ここ数年では初めてのことです。 NTT東日本の山村社長他トップの方、また明治安田生命保険の鈴木常務他の方々です。 幸い両社とも優勝クルーを出したので、みなさん大喜びされていました。 また今年から初めて大会の協賛会社になってくれた日本航空(JAL)広報担当の方も観戦に来てくれました。
ボート競技を支援してくださっている企業とは、一層連携を密にして繋がりを強めていきたい、 そして将来できれば「JARAファミリー」のような組織に育っていければいいなと考えています。 その取組みの最初の成果といっていいかもしれません。
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2020年の東京オリンピックを見据えた時、これから国際的な行事・活動がそうとう増えるだろうと予想されます。 日本ボート協会としてそれに向けた体制強化を図るべく、「ボート競技国際化プロジェクト(略称・国際PJ)」をスタートさせました。 PJマネジャーは藤居譲太郎管理本部長(兼国際委員長)が務め、理事長以下各委員長がメンバーとなりますが、 特色は国際化に造詣の深い方々に顧問を委嘱しようと考えていることです。 国内からは以前国際部長を務めた方など、また海外からはFISA(世界ボート連盟)やARF(アジアボート連盟)の関係者にお願いしようと考えています。
国際PJが取り扱う案件は非常に多岐にわたりますが、例えば
- FISA及びARFとの連携を強め、情報を共有化しておかなければなりません。また人材を派遣することにより人的能力を高めることも必要でしょう。
- オリンピック開催国にふさわしい競技運営能力を獲得するために、オリンピック開催までの7年間に、 いくつかの国際大会を誘致する必要がどうしてもあります。
- 特に「アジアの大会を日本で開催してほしい」とARFから強く要請されています。 この4年間に1度も日本で開催していないのは、やはりまずいと思います。
- 軽量級種目をアジアで定着・強化する責任が、オリンピックに軽量級を導入した経緯から考えて、日本にはあるとわたしは思います。
このように課題山積なので、なかなか大変です。 全国のオアズパーソンの中には国際化に強い人が沢山いるのではと思いますので、ぜひ協力をお願いしたいと思っています。
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ボートレースといっても、静水での2000メートル以外に、 いろんなレースが世界で行われていることは知っていましたが、 「World Rowing Coastal Championships(世界海岸ボート選手権)」というレースは今回初めて知りました。 国際審判員の田畑喜彦さん(愛知県ボート協会)がスウェーデンで8月に開催された大会で審判を務め、 その報告書を送ってくれたのですが、「さすがヴァイキングの国、すごいレースをやるもんだ」と興味津々で読みました。
海岸線につくられた6キロのコースを、最大16クルーでスタートし、浮かべたブイのカーブを何度も曲がって、 最後は砂浜に乗り上げてゴールだそうです。ヨットのレースをイメージすればよいのでしょう。 スカル、ダブルスカル、クオドルプルの3種目があるようで、もちろん艇の構造は特殊なもの、 大波を何度も乗り越えながらのダイナミックなレースのようです。
審判の仕事もそうとう大変だったと、田畑さんは書いています。
来年でも挑戦してみようという人は誰かいませんか。
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日本における近代スポーツの父、F・W・ストレンジさんのことはご存じの方も多いかと思います。 1853年ロンドンに生まれ、明治8年(1875年)22歳の時に来日し、それ以降14年間懸命に日本におけるスポーツの普及に努められました。 特に本格的なボート競技はストレンジ先生が導入したもので、まさにボートの父・恩人というべき方なのです。
その生誕160周年の会が、誕生日にあたる10月29日に行われました。 日本で亡くなられたのでお墓は青山霊園にあり、墓前でまず礼拝式を行い、その後伊藤忠商事のレセプションルームをお借りし、懇親会が行われました。 荒川鐡太郎氏、高橋孝蔵氏(ストレンジ氏の研究家)はじめボート関係の各校先輩有志多数、 また日本陸上競技連盟からは河野洋平名誉会長、横川浩会長以下幹部方々が出席されて、たいそう賑やかな会で話がはずみました。 陸連もストレンジさんのことは非常に大切に考え、今回お墓をとてもきれいに整備してくれました。また会長室にはストレンジ氏の肖像を飾っているそうです。
ボート関係の有志が毎年命日には墓前に集まり、草むしりなどしてお墓をきれいにし、ストレンジさんの冥福を祈っています。 関心のある方はぜひ参加してみてください。
以上