日本ボート協会JARA
全国のオアズパーソンへの手紙(第9信)
日本ボート協会会長
大久保 尚武
3月にユニバーシアード/U-23の日本代表選手が決まりましたが、続いて4月末に今年の国際レースに派遣するシニアの日本代表選手団が決定します。
4月25日(木)に戸田コースで行われた最終の評価・選考レースを、相良強化委員長、古川強化アドバイザーなどと一緒に観てきました。ちょっと風はありましたが好天のもと、日本代表を目指しての各クルーの力漕は、さすがに見ごたえがあります。レース方式は(わたしも初めて観るのですが)ハンデイキャップレースというやり方で、たとえば男子軽量級のダブルスカル2艇と舵手なしフォア2艇を24秒のハンデイキャップをつけて競わせるのです。フォア同士で勝っていたとしても、先を行くダブルスカルに追いつかなければならないわけで、最後まで力が抜けません。現実にフォアとダブルがすごいデッドヒートで、ほぼ同着でゴールしました。
阿部ナショナルコーチの指導のもと、日本代表選手団諸君の世界での活躍をおおいに期待しています。
今年は8つの国際大会に日本代表を派遣する予定にしています。日程がけっこう詰まっているのですが、シニア4戦、ユニバーシアード/U-23が2戦、ジュニア2戦です。下に一覧表にまとめておきます。
今年の国際レース(予定)
日程 | シニア | U-23 | ジュニア |
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6/21~23 | ワールドカップ第2戦 |
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7/6~8 | ユニバシアード (ロシア/カザン) |
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7/12~14 | ワールドカップ第3戦 (スイス/ルツェルン) |
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7/24~28 | ワールドU-23 (オーストリア/リンツ) |
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8/7~11 | 世界ジュニア選手権 (リトアニア/トラカイ) |
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8/25~9/1 | 世界選手権 (韓国/忠州) |
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9/25~29 | アジア選手権 (中国/六安) |
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10/13~17 | アジアジュニア選手権 (ウズベキスタン/サマルカンド) |
今年、それぞれの日本代表クルーが、どう世界と戦ってくれるか、おおいに注目しています。もちろん「日本代表に選ばれて嬉しい!」といったことで大喜びするレベルの、甘い考えの選手は、もう少ないと思います。世界の厳しい相手とどこまで戦えるか、己の実力を試し、今後の強化のポイントを確認する、そのための挑戦の場だと、ちょっと厳しい言い方かもしれませんが、そのように認識してほしいと思います。
しかしながらわたしは「今年ぜひ勝ってくれ」と言っているのではありません。目標はもっと先なのです。なんども言っていますが、日本のボートがある日突然に強くなって世界で勝てるなどと、わたしは「夢想」してはいません。そうではなくて大切なのは、毎年の的確な強化策によって、少しずつでも着実に進歩を遂げること、そして去年より今年がちょっとでも強くなったと実感できるようなレースをすること、それを期待しているのです
その意味で、選手諸君・指導者(監督、コーチ)の皆さんにお願いしておきます。単にレース結果に一喜一憂するのではなく、あらゆる面でできるだけ客観的かつ合理的な分析/評価をして、これからさらに強くなるために何をすべきかをしっかり考え、その上で具体的な提案をぜひしてください。オリンピックでメダルを取るという目標に向けて、今のままでは絶対にダメなことだけは、はっきりしています。良い提案は必ず実行します。そして日本のボートを少しでも強くしようではありませんか。
もう一つ、ボートの強い小国(たとえばデンマーク、オランダ、ニュージーランド、ブルガリアなど)がどんなことをして強くなったのか、少しでも聞き出してきてください。「あんな人口の少ない国が、どうやってボート強国になれたのか」、わたしは興味津津なのです。
× × ×
4月20日(土)に開かれた「日本ボート協会 顧問参与会」で木村理事長から、この1年間の活動状況を詳しく報告しました。そしてわたしからは、このところ特に気に掛っている「日本ボート協会の組織体制の整備・強化」についてすこし詳しく話をしましたので、大事ないくつかの点についてみなさんにも報告しておきたいと思います。
昨年来、広くみなさんの声を聞くことに努め、多くの有益な提案を受けました。ありがとうございました。ただ、それを実現するためには、まずキチッと制度に落とし込まなければなりません。またそれを実行する人材が絶対に必要です。そこのところをどう協会の組織として整備するかを、いろいろ考えているのです。ご存じのように協会役員は全てボランテイアで、時間的・経済的にずいぶん負担をお願いしているので、そこも現実には難しいところです。
まだ理事会にもかけていない私案なのですが、ぜひ検討したい課題として顧問・参与のみなさんにお話したものなので、そのことをふまえて読んでください。そして意見をお寄せください。
- 1、執行体制の強化
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- 理事をもう少し幅広い層から選任し、また増員もしたいと考えています。
昨年公益社団法人としてスタートした時に理事は17名に減らし、その代わりにオフィサー・アドバイザーなどを充実して対処してきました。しかし問題点もいくつか目につきます。たとえば、理事会に地方協会や一部の団体の声をもう少し反映したいとか、現実には仕事の量・質ともに大幅に増えているので、さらに幅広い人材・タレントを登用したいとかです。
そのためには理事選任規準は緩和しなければと思います。また地方在住者に道を開きたいので、各地方協会のご支援もお願いします。 - ナショナルコーチをもっと幅広い層から発掘し、優秀なコーチングスタッフを集め育てていけるように、制度を整えたいと思います。
そのためには、「ナショナルコーチの個別団体コーチとの兼務を認める」ことが第一かなと考えています。公平性をどう守るかとか、両方のコーチとしての時間配分をどうするかとか、細則は詰めなければなりません。しかし優秀なコーチの数は限られていますし、ナショナルコーチを務めることがコーチとしての能力アップに資することは間違いありません。ぜひ進めたい案件です。
- 理事をもう少し幅広い層から選任し、また増員もしたいと考えています。
- 2、広報活動の充実をぜひとも進めます。
- どなたと話していても、共通した要望として「もう少しテレビ・新聞にボートのことが取り上げられるようにしてほしい」という声が出ます。今に始まった要望ではないのですが、たとえば企業クルーの監督から「せっかく優勝しても、テレビに写らないと社内ではサッパリ認めてもらえない」というボヤキの声などを聞くと、やはり「なんとかしなくては」という気になります。企業スポーツ受難時代なだけに、無視できないと思うのです。ボートを知っている記者さんも昔に比べるとずいぶん減っているようです。
そこでまず最初の試みとして、5月13日(月)に「ボート競技 マスコミ懇談会」を広報委員会が企画してくれました。
体協記者クラブの皆さんが何を期待し、どんな情報をほしがっているのか、そのあたりから突破口をひらきたいと思います。古城先生(江戸川大学)の愉快な「ボートの歴史話」などもやってもらい、色を添えたいと考えています。 - 3、サポート体制を整備・強化したい、そう考えています。
- この難しい時代に、社内にボート部を持ってくれている会社のトップの方とかボート出身のトップの方などに、一層ボートへの理解を深めてもらい応援もしてもらうために、一種のボートサポート体制(たとえば「特別参与制度」)を作れればと思っています。
また「ボートコース所在市町村の首長・議員」の方々との繋がりは、鎧塚大先輩などの長年のご尽力により、他に例をみない強固な組織になっています。これこそ強力なサポート組織です。
その他にもいろいろな面でボートをサポートし支えてくれる体制を、こまめに整備・強化していきます。
ボート関係者の皆さんのご理解とご協力をよろしくお願いします。
以上