公益社団法人日本ボート協会

Japan Rowing Association

インフォメーションINFORMATION

再掲 体重計量時のコックスの大量の水分摂取と嘔吐に関して

2013年06月26日
医科学委員会
再掲 体重計量時のコックスの大量の水分摂取と嘔吐に関して

レース時艇内へのデッドウェイトの積載を逃れるために、コックスが、 体重計量前に数リットルに及ぶ多量の水分を摂取し、計量後に強制的に嘔吐する行為が報告されている。 以前より繰り返して警鐘しているが、かかる行為は、 ルールを遵守して競技を行うというスポーツ本来のあり方に反するアンフェアな行為であり、 また、心身ともに健全な青少年を育成するというスポーツの目的に反した不健康な行為である。 時には、以下に示すような深刻かつ致命的な病態を来すこともあるので、即刻中止すべきである。

1.筋肉のけいれん
胃液中には、大量の電解質が含まれており、水とともに大量の胃液を嘔吐することにより、 大量の電解質が体外に失われる。その結果、体内の電解質のバランスが崩れ、筋肉の痙攣を引き起こすことがある。
2.熱中症
嘔吐により大量の胃液が失われ、脱水状態となる。従って、熱中症の誘因となりうる。
3.吐血
急激な嘔吐による腹圧の上昇により、胃の入り口の粘膜が裂け、吐血を来す可能性がある。食道の破裂を来せば、生命の危険にまで及ぶ。
4.水中毒
急激に多量の水分を摂取し、それがすべて体内に吸収された場合は、水中毒を引き起こす。 水中毒とは、水分が体内に過剰に摂取された結果、体内の電解質のバランスが崩れ、けいれん発作、意識障害、 等を引き起こす病態であり、さらに進行すれば、脳の浮腫(脳が腫れること)を引き起こし、致命的となる。
5.拒食症
強制的な嘔吐が習慣化すれば、拒食症に発展することがある。ひとたび拒食症になれば、 長期に渡る精神科的治療が必要とされ、その後の人生に大きなマイナス要因となる。
高校生での報告例もあります。上級生から引き継がれた習わしのようになっていないでしょうか。 健康問題に発展しかねない事柄なので、指導者の方には今一度のコックスを含めた全部員に対しての教育をお願いします。