インフォメーションINFORMATION
警告・体重計量時のコックスの嘔吐に関して
平成20年4月30日
医科学委員長 小形 滋彦
医科学委員長 小形 滋彦
レース時艇内へのデッドウェイトの積載を逃れるために、コックスが、 体重計量時に多量の水分を摂取し、計量後に強制的に嘔吐する行為が報告されている。かかる行為は、 ルールを遵守して競技を行うというスポーツ本来のあり方に反するアンフェアな行為であり、 また、心身ともに健全な青少年を育成するというスポーツの目的に反した不健康な行為である。 時には、以下に示すような深刻かつ致命的な病態を来すこともあるので、即刻中止すべきである。
誘発される病態
- 1.筋肉のけいれん
- 胃液中には、大量の電解質が含まれており、水とともに大量の胃液を嘔吐することにより、大量の電解質が体外に失われる。その結果、体内の電解質のバランスが崩れ、筋肉の痙攣を引き起こすことがある。
- 2.熱中症
- 嘔吐により大量の胃液が失われ、脱水状態となる。従って、熱中症の誘因となりうる。
- 3.吐血
- 急激な嘔吐による腹圧の上昇により、胃の入り口の粘膜が裂け、吐血を来す可能性がある。食道の破裂を来せば、生命の危険にまで及ぶ。
- 4.水中毒
- 急激に多量の水分を摂取し、それがすべて体内に吸収された場合は、水中毒を引き起こす。水中毒とは、水分が体内に過剰に摂取された結果、体内の電解質のバランスが崩れ、けいれん発作、意識障害、等を引き起こす病態であり、さらに進行すれば、脳の浮腫(脳が腫れること)を引き起こし、致命的となる。
- 5.拒食症
- 強制的な嘔吐が習慣化すれば、拒食症に発展することがある。ひとたび拒食症になれば、長期に渡る精神科的治療が必要とされ、その後の人生に大きなマイナス要因となる。