インフォメーションINFORMATION
アクシンデントレポート・インシデントレポート提出状況のご報告
2007年11月07日
安全・環境委員会
安全・環境委員会
日本ボート協会では、2005年3月に「アクシデントレポート」「インシデント(事故直前回避) レポートのフォームを策定し、各都道府県協会へレポート提出をお願いいたしました。
その結果、8月末現在で26件のアクシデントレポートと、2件のインシデントレポートの報告がありました。 これらは、実際に発生した事故のごく一部であり、報告されていないケースが多く存在すると予測されますが、 提出された個々の事故状況や対処方法などをみますと貴重な情報が多く含まれております。以下にその概要をご報告いたします。
レポート件数
- アクシデントレポート(全26件)
-
- 艇単独(艇以外との衝突含む)
- 13件
- 艇同士の衝突
- 9件
- ステッキボート
- 3件
- その他
- 1件※うち何らかのケガを伴うもの6件
- インシデントレポート(全2件)
-
- 波による沈没回避
- オール外れによる転覆回避
参考事例
事例 No.1 |
【新入生試乗会における救助艇の待機、携帯電話の携行】
強風下での実施が適切であったかの問題はあるが、救助艇(モーターボート)を準備し、携帯電話を携行したことにより、
強風下で操艇が困難な状況になっても速やかな救助を行うことができた。
|
事例 No.3 |
【レース伴走中の自転車と観戦者が衝突、ケガを負わせた】
原則的には自転車運転者が自己の責任において処理すべきであるが、
レース伴走では自転車が前方不注意になりがちであること、伴走路も大会会場内であることから、
主催者は何らかの対応策を講じることが望ましい(日本ボート協会では戸田における主催レースの準決勝・決勝において「先導車」を運行し、
歩行者と伴走自転車との接触防止を図っている)
|
事例 No.8・24 |
【川のカーブ付近で対向する艇が衝突した】
カーブの中やカーブを抜けた地点では意識しないうちに対向レーンに入っていることがあるので、
特に川幅が充分でない場合や急カーブでは徐行や一旦停止などのルールを定める必要がある。
|
事例 No.21 |
【薄暮の中、無灯火で練習し衝突した】
進行方向の確認は当然であるが、薄暮~夜間の練習における点灯ルールを義務付けるべきである。
特に雨天や曇天時には早めに点灯するよう注意喚起が必要である。
|
事例 No.5・12・14 |
【ステッキボート作業中の事故】
大会運営にあたる学生や生徒は不慣れな下級生であることも多いため、
主催者は経験や技量を見極めて作業指示を行うことが必要である。
|
事例 No.22 |
【突風による大型艇の転覆】
最終的な原因は不明であるが、オールの角度(艇に対し平行に近い)や艇の向き(艇の腹を風に向ける)によっては大型艇(8+)でも風によって転覆する可能性があることが判明した。
また、急な転覆や沈没の時にシューズが脱げずに慌てることがないよう、
ヒールストラップをきちんと着けておくことが重要である。
なお、一般論として天気の急変や突風が起こりやすい「寒冷前線の通過」に注意が必要である。
|
事例 No.2・4・24・25ほか |
【アクシデントレポートを活用した情報共有】
瀬田漕艇倶楽部では経験や年齢が異なるメンバーが多数参加しているため、
クラブ内でアクシデントレポートの提出を義務付け、
艇庫に掲載して再発防止のための注意喚起を行っている(了解を得て団体名を掲載する)
|
日本のボート界においては、2001年の事故以来、幸いにして「事故による死亡」は発生しておらず、 本レポートにおいても深刻な事故は報告されていませんが、一方、「ボートに関連した急病死」という事態は複数発生しており、 これらも広義の事故と捉えれば、「ボートを巡る安全環境」は残念ながら決して良好な状況とは言えません。
本レポートの策定目的は、「事故の削減・発生防止」がすべてであり、事故の発生を批判・非難するものではありません。 報告を躊躇する場合もあるかと思いますが、内容の公表はすべて今回のような個人を特定しない形で行います(当事者名は匿名でも受け付けます)。 本レポートの趣旨をご理解のうえ、今後も、積極的なご協力をお願い致します。