Mama Athletes Network(MAN)ワークショップとは、
スポーツ庁委託事業 平成29年度女性アスリートの育成・支援プロジェクト「女性アスリートの戦略的強化・支援プログラム」の一環として、
女性アスリートやその指導者・スタッフを対象に開催するものです(日本ボート協会 アスリート委員会)。
今回は、「ママアスリートに対する周囲のサポート」をテーマとし、 現役ママアスリートの経験談、ママアスリートをサポートしている競技団体・企業の取り組み、 ママアスリートのご家族の声、ママアスリートがどのように周囲のサポートを受けながら活動しているのかを紹介することで、 出産後も競技を続けたい・競技に関わりたい女性アスリートが必要な準備や、 そのようなアスリートを抱える競技団体・スタッフ・ご家族がママアスリートのサポート体制を 考えるための一助となることを目的として参加しました。
主催:独立行政法人日本スポーツ振興センター 国立スポーツ科学センター(JISS)
開催日時:2017年9月14日(木)13:00~16:30
場所:国立スポーツ科学センター 2F 研修室Aと研究室B
参加者:加藤直美(日本ボート協会理事 アスリート委員会委員長)
浜田美咲(日本ボート協会 指導者育成委員会スタッフ、戸田中央総合病院ローイングクラブ)
[ワークショップの内容]
13:00-13:30
開会のあいさつ 土肥美智子(JISSメディカルセンター)
13:10-14:10
【現役ママアスリートへインタビュー】
ゲスト:中山由起枝選手/クレー射撃
シドニー、北京、ロンドン、リオデジャネイロ五輪出場
進 行:三星マナミ/MANリーダー
スキーフリースタイル ソチ五輪出場
質疑応答
14:10-14:20
休憩
14:20-15:20
【ママアスリートに対する実際のサポート紹介】
対談
ゲスト:中田玲子氏/(公財)日本フェンシング協会
ゲスト:江村宏二氏/(株)エクスドリーム・スポーツ
進 行:土肥美智子/JISSメディカルセンター
調査報告:トヨタグループ 託児所の紹介
JISSの取り組み:育児サポートの紹介
質疑応答
15:20-15:30
【海外ママアスリート 調査報告】
クロスカントリースキー Kikkan Randall選手(USA)の事例紹介
15:30-15:40
会全体の質疑応答
15:40-15:50
閉会のあいさつ・アンケート記入
15:50-16:30
【情報交換会】
ママアスリートとの交流
Mama Athletes Network(MAN)ワークショップ詳細
【所感】
ママアスリートとして活躍することは、周囲の理解と協力無しには難しいことであるし、何より自身の強い意志が必要である。しかし、子供と喜びを分かち合えること、子供に自分の頑張る姿を見せられることが、ママアスリートとして頑張れる一番のモチベーションなのだと感じた。また、特にマイナー競技では、ママアスリートとして活躍することで多くのメディアに取り上げてもらい、自分の競技をできるだけ世の中に広めたい、という使命感を持っていることもわかった。
ママアスリートとして競技を続けるために、競技団体や所属団体からサポートを受けるためには、現段階では、妊娠直前まで代表選手レベルで、かつ出産後も代表を目指して競技を続ける意志を示している者でないと、サポートを受けることは難しい環境である。特に、どこまで柔軟にサポートできるかは各競技団体、所属団体の理解度に寄るところが大きい。また、夫の協力体制や両親がすぐに子供を預けられるような場所にいるかというような家庭の環境も、かなり大きな要素となる。
以上のことより、女性アスリートは、アスリートとしてのライフプランの中に妊娠、出産も含めて考えることが必要であると考える。どのタイミングで妊娠し、妊娠中のトレーニング、産後いつから復帰するか、復帰するに当たっては、断乳の時期や周りのサポート環境についても考えなければならない。しかし、結婚前、妊娠前からその意志を表明しておけば、周囲の協力も得られやすいはずである。
日本全体としてもまだまだママアスリートは少ないが、しかしJISSのデータでもわかるように、だんだんと増えて、ロールモデルがいくつも出来上がってきている。種目を超えてそのロールモデルを参考にすることで、どの競技でもママアスリートが増えていく要素はあると思われる。
日本のボート界ではまだママアスリートとして結果を出したロールモデルはいない。私は代表活動時代に、海外のママアスリートがオリンピックや世界選手権でメダルを獲得し、会場で子供を抱っこして歩いているのを目の当たりにして以来、いつか自分もママアスリートになれたらいいなと憧れを持った。それもあり、子供が1歳になり、職場復帰し、仕事と育児の両立にも慣れ始めた昨年7月、職場とチーム、家族に復帰したい意志を伝えた。私は2011年に一度完全に選手を引退している身であり、当時は出産後の復帰も表明していなかったため、職場と家族には突然の我がままで非常に迷惑なことだったと思うが、快く理解してくださり、育児と仕事を続けながらトレーニングもできる環境を整えてくださった。職場と家族には非常に感謝している。この頂いた貴重な機会を無駄にすることのないよう、レースで結果を残すと同時に、日本人でも、ボートでも、ママアスリートとして活躍できる可能性があること、また子供がいた時といない時でどのような素晴らしい違いがあるかなど、ママアスリートの様々な情報を若い女性選手に発信して、女性選手の選手寿命を延ばせるよう貢献していきたい。
この度は、このような機会を頂き誠にありがとうございました。
以上
戸田中央総合病院ローイングクラブ
浜田美咲