日本ボート協会JARA
全国のオアズパーソンへの手紙(第52信)
日本ボート協会会長
大久保 尚武
11月29日に開かれた4者協議(IOC、組織委員会、東京都、政府)で「海の森ボートコース」の新設が正式に決まりました。総予算298億円が承認されたわけで、施設についてはその予算の範囲内で、恒久設備とすべきものは何か、どの部分を仮設とするかなど、更に検討を重ねていくこととなったようです。
すでに2015年2月のIOC理事会で「正式」決定し、今年3月の都議会で今年度予算も承認され建設工事に入っていたものを、ある日(9月29日)突然、「見直し案」なるものを突きつけられ、この2ヵ月間、特にマスメディア上は大騒動しましたが、おさまるところにおさまりました。当然ですがよかったと思っています。
「ホッとしたでしょう」と言われますが、ちょっと違った気持ちです。逆説的ですが、これだけボートのことがマスメディアを賑わせたのは初めてでしょう。ありがたかったと言っておきます。
わたしは首尾一貫して、「将来の若者たちのために、恒久施設としての国際級ボートコースを残したい。東京オリンピックは千載一遇のチャンスだ。2週間のオリンピック後には廃棄されてしまう仮設コースでは全く意味がない」と一貫して言い続けてきました。最低限のところは出来そうなので、その意味ではホッとしています。
今回の騒動のなかで、唯一良かったと思うのは、4者協議会に求められたこともあり、海の森ボートコースの「レガシー(後利用)計画」をしっかり、32ページの文書としてまとめることができたことだと思っています。日本ボート協会、日本カヌー連盟、東京都ボート協会、東京都オリンピック・パラリンピック準備局の4者で協議を重ね、なかなかいい計画にまとまっています。ただし、本計画案は恒久設備が前提でしたので、今回の決定に伴う設備変更の内容により、大幅に見直さなければならなくなる可能性があります。その場合は関係者のご意見を頂きながら、より良い「レガシー計画」にしたいと考えています。
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11月10日(木)~13日(日)という変則的な時期の全日本選手権でしたが、最終日はお蔭で風もなく暖かいボート日和にめぐまれ、熱戦がくりひろげられました。
男子8種目の勝者は、やはり実業団が強く、大学は4-(立教大学)、4+(仙台大学)2+(日本大学)の3種目の優勝にとどまりました。関西電力美浜が強さをみせ2種目(2-、4x)を制し、1xは18歳と若い野村颯士朗君(トヨタ自動車)が優勝し、皆を驚かせました。2xはアイリスオーヤマがみごと5連勝、そして8+はNTT東日本が日本大学に1艇身差で快勝しました。NTT東日本は、昨年残念な事件のため3ヵ月間活動自粛したあとだけに、期するところがあったようで、応援に来ておられた山村雅之社長ともども喜びの歓声をあげていました。
女子5種目では明治安田生命が2x、4xの2種目を制しました。1xでは男子につづいてこちらも若い20歳の栗山咲樹さん(富山国際大学)が優勝、2位は17歳の大門千紗さんでした。2-は立命館大学がみごとな3連覇、そして8+は明治大学が4連覇を遂げたのは立派でした。
優勝した13クルーには、心からおめでとうと申し上げます。
ところで、全日本選手権の開催時期については、いろいろ考慮しなければならない条件があって、決定に苦慮しています。来年は愛媛国体(10月6日~9日)のあと、10月27日~29日を予定しています。
再来年以降については、さらに相談・検討していきたいと思っています。
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2017年度のナショナルチームの強化活動は、11月26日(土)の「6Kmタイムトライアル」による選手選考から実質的にスタートしました。ギザビエ体制始動です。
今年の6KmTTは、戸田コースを往復するスタイルを改め、「Head of the ARA」に合流する形で、荒川で行われました。「その方がベターだ」というギザビエさんの判断です。川でのタイムトライアルに少々戸惑った選手も一部いたようですが、コンディションも良く、まずは順調な結果だったようです。
今回は、一部オープンウェイトの選手を育てること、また若い選手を育てることも加味、これまでの実績等も勘案した選考結果となっています。
12月合宿への参加選考結果は、カテゴリー別に次の通りです。
・シニアカテゴリー M1x…2名LM1x…12名 LW1x…7名
合計21名
・U-23カテゴリー BM1x…2名BLM1x…10名BW1x…1名 BLW1x…9名
合計22名
いよいよ2020東京オリンピックに向けた4年間にわたる戦いの始まりです。厳しい練習に耐え、どこまで自分を追い込めるか。一方で明るい楽観的な精神、笑い合える仲間づき合いも絶対に必要です。
明るく伸び伸びとした合宿の中での健闘を祈ります。
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細淵雅邦さん(日本ボート協会理事)が、FISA(国際ボート連盟)の理事(カウンシルメンバー)に選任されました。日本ボート界として初めてのことで、まことに喜ばしい快挙です。
細淵さんは、これまでもFISAのイベントプロモーション担当委員として活躍してきており、ローランド会長、マット・スミス事務局長の高い信頼を得ております。今般「2020東京オリンピック担当」ということで、23人いるFISA理事(カウンシルメンバー)の一員に選任されたのです。
2020年東京オリンピックに向けて、IOC、FISA、日本政府、東京都、組織委員会、JOCなど各組織とのパイプ役を果たして、最高のボート競技運営が行えるよう、尽力してください。年に7~8回は、理事会出席等でスイスその他に飛ばなければならず、初めての大役、大変とは思いますが、健闘を祈ります。
先般、木村理事長と一緒に、スポーツ庁の鈴木長官にご挨拶にあがったところ、長官もたいそう喜んで激励してくれたそうです。
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11月は、いろいろボート関係の会が続きました。お招きいただいたのに出席できなかった会もいくつかありましたが、ご容赦ください。
11月3日(祝)今年1月に亡くなられた堀内浩太郎さんを偲ぶボート関係者の会が、神田の如水会館で行われました。
堀内さんはほんとうに「ボート界の巨人」と呼ぶべき人でした。わたしはスピーチでもお話しましたが、札幌南高校(旧一中)の後輩であることから始まり、いろんな面で不思議な関係がたくさんあり、亡くなられる直前までご指導いただき、可愛がってもらいました。
亡くなられたことは、ほんとうに残念です。
11月25日(金)ボートマンクラブの総会・懇親会が渋谷で開催、104人というたいへんな参加者で賑わいました。
各校わたしと同期の仲間が多く、いちばん気楽に楽しめる会です。毎年のことなのですが、今年も「東京オリンピック強化募金」に寄贈いただきました。お礼の挨拶でも申し上げましたが、こうして寄贈いただくことで、お金のことはもちろんですが、精神的なバックアップを感じ、ほんとうにありがたい思いです。
11月26日(土)大津市で開かれた立命館大学ボート部創立70周年のお祝いの会に出席しました。200名以上の参加者、特に選手の数もそこそこ多く、応援団もいて、大変な熱気です。立命館は昭和51年(1976年)大学選手権の8+で優勝するまでは、そう目立った大学ではなかったのですが、平成17年(2005年)にM4xで全日本選手権を獲ってからは、ほぼ毎年優勝してきているのですから、たいしたものです。挨拶で「これだけ勝つためには、良き練習を十分に積んでいることを感じる。東京オリンピックに代表選手を送り込むことをぜひ狙ってほしい」と激励してきました。
11月29日(火)大垣市で執り行われた田口義嘉壽さん(中部ボート連盟会長)の追悼式に参列してきました。
岐阜県名誉県民に叙せられたことに象徴されるように、実に多彩な公的職務に就かれ、各方面に多大な貢献をなされてきた方です。明るく包容力のあるお人柄とあいまって、たくさんのファンがおられることがこの追悼式に参列して良くわかりました。
わたしもボートに関しいろいろご指導いただきましたが、中でも2005年、長良川での世界選手権では、故・三笠宮寛仁親王に係わることですっかり助けていただいたことが最大の思い出です。ご冥福を心よりお祈りいたします。
以上